無免ライターの日記

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【大家さん必見】サブリース会社のずさんな管理は更新拒絶の理由になる?2024年の最新判例から学ぶ「正当事由」

 

1.【結論】サブリースの「ずさんな管理」、実は更新拒絶の理由になります!

「毎月の家賃保証は助かるけど、どうも管理会社の仕事が雑で…」

「入居者トラブルの報告もないし、本当にちゃんとやってくれてるのかな?」

サブリース契約を結んでいる大家さんの中には、こんな風にモヤモヤを抱えている方も多いのではないでしょうか。

実は、そのサブリース会社の「ずさんな管理」、泣き寝入りする必要はないかもしれません。

結論から言うと、管理状況の不備を理由に、契約の更新を正当に断れる可能性があるんです!

「え、でも法律で借りてる側が強く保護されてるって聞くし…」と思いますよね。

その通り、簡単な話ではありません。

しかし、2024年1月に出たある裁判の判決が、悩める大家さんたちにとって大きな希望の光となりました。

この判決では、サブリース会社の不十分な管理が、大家さんによる契約更新拒絶の「正当事由」にあたるとはっきり認められたのです。

この記事では、この最新のケースをもとに、どんな状況なら更新を断れるのか、そして大家として何を知っておくべきかを、かみ砕いて解説していきます!

 

2.でも注意!更新拒絶に「正当事由」が必要なワケ

「管理がダメなら、次の更新はしません!で終わる話じゃないの?」

と思ってしまいますが、ここがサブリース契約の難しいところです。

大家さん側から契約の更新を拒絶するには、法律で定められた「正当事由」という、とても重要なハードルをクリアする必要があります。

これは「借地借家法」という法律で定められていて、基本的には借りている人(この場合はサブリース会社)の立場を守るためのルールなんです。

つまり、大家さんの「気分」や「ちょっとした都合」だけでは、一方的に「さようなら」とは言えない仕組みになっています。

では、この「正当事由」とは一体何なのでしょうか。

これは、裁判所が「なるほど、それなら大家さんが更新を断るのも無理はないですね」と納得してくれるような、客観的で正当な理由のことです。

例えば、大家さん自身がその建物に住まなければならない切実な事情があるか、あるいは今回のように、サブリース会社の側に明らかな問題があるか、などを総合的に見て判断されます。

この「正当事由」がなければ、たとえ契約期間が満了しても、基本的には契約は自動的に更新されてしまうのです。

だからこそ、どんな理由が「正当」と認められるのかを知っておくことが、非常に大切になります。

 

3.【判例で学ぶ】どんな「ずさんな管理」が正当事由になったの?

では、実際にどんな「ずさんな管理」が問題視されたのか、2024年の判例をのぞいてみましょう。

このケースの大家さんは、サブリース会社の入居者管理にずっと頭を悩ませていました。

発端は、ある部屋の入居者が深夜に複数人で大騒ぎするというトラブルでした。

大家さんはすぐに対応を求めましたが、会社の動きは鈍かったようです。

この一件で不信感が募り、話し合いの末、もともと数年単位だった契約を「会社の対応をチェックするため」という理由で1年ごとの短期契約に切り替えてもらいました。

しかし、その後も状況は改善されませんでした。

具体的に裁判所が問題だと指摘したのは、例えば

「同居人が増えても把握できていない」

「禁止しているはずの民泊事業を入居者が行っていたことを見抜けなかった」

といった点です。

トラブルが起きてから動くような後手後手の対応では、大家さんの不安を解消するには全く不十分だと判断されたわけです。

このように、一度の大きなトラブルだけでなく、その後の継続的な管理体制の不備が積み重なった結果、「これでは大家さんが更新したくないと思うのも当然だ」として正当事由が認められました。

 

4.大家さんの「物件への思い」も重要!認められたもう一つの理由

サブリース会社の管理のずさんさに加えて、今回の判決で裁判所がとても重視した、もう一つのポイントがあります。

それは、「大家さんとサブリース会社、どちらがよりその建物を必要としているか?」という視点です。

サブリース会社にとって、この物件は数多く管理するうちの一つに過ぎず、ビジネスの対象でしかありません。

もしこの物件がなくなっても、他の物件で事業を続けられます。

一方で、大家さんにとってはどうでしょうか。

このケースの大家さんは、賃貸部分と同じ建物内にある自宅に住んでいました。

つまり、入居者のマナーが悪ければ、自身の生活環境が直接おびやかされるわけです。

近隣住民としての立場もあり、物件の管理状況は死活問題と言えます。

この物件の代わりはありません。

裁判所は、この両者の立場を比較し、

「所有者であり、自らも居住して生活に直接影響を受ける大家さんの方が、事業の一つとして物件を借りているサブリース会社よりも、その建物を必要とする度合い(必要性)が圧倒的に高い」

と判断しました。

このように、大家さん自身の物件との関わり方や、そこで生活しているという事実も、正当事由を判断する上で強力な武器になるのです。

 

5.まとめ

「サブリース会社の管理が悪くて困っている…」

そんな大家さんにとって、契約更新を拒絶することは決して不可能ではありません。

2024年の最新判例は、そのための具体的な道筋を示してくれました。

今回のケースで、大家さんの更新拒絶に「正当事由」があると認められたポイントは、以下の3つに集約されます。

 

①継続的な管理の不備

騒音トラブルへの対応の遅れだけでなく、その後の同居人把握の遅れや、禁止行為(民泊)の見逃しなど、サブリース会社の管理体制そのものに問題があると判断されました。

②大家さん側の高い必要性

大家さん自身が同じ建物に住んでおり、生活環境に直接影響を受けるため、多数の物件の一つとして扱うサブリース会社よりも、物件を適切に管理する必要性が格段に高いと認められました。

③これまでの契約経緯

トラブルをきっかけに、契約期間を1年間の短期に切り替えていた事実も、「契約の継続に対する期待が低くなっていた」と判断され、大家さん側に有利な事情とされました。

 

もしあなたが同じような悩みを抱えているなら、まずはトラブルの内容や会社とのやり取りを詳細に記録することから始めましょう。そして、専門家である弁護士に相談し、ご自身の状況が「正当事由」に当てはまる可能性があるか、アドバイスを求めることを強くお勧めします。

 

参考文献:

サブリース業者の建物管理状況の不備が賃貸人による契約更新拒絶の正当事由にあたると認められた事案(東京高判 令6・1・18 2024WLJPCA01186003)