本記事は、宅建士を含めた資格試験の受験を推奨するものではありません。
また、「宅建士、合格しました!」「たくさん努力しました!」「すごいでしょ?」と自己満足のために成果をひけらかすことでもありません。
資格を取得すると、人は一喜一憂しがちです。
その結果、本来の自分を見失い、あたかも神や仏にでもなったかのような錯覚に陥ることがあります。
つまり、「調子に乗る」ということです。
私は、合否発表日にSNSで合格報告をする人たちにこう伝えたいのです。
「宅建士を取得しても、調子に乗って浮かれすぎるな。」
さらに言えば、
「芸は身を滅ぼす。もし何かを身に着けたなら、それを軽々しく他人に見せず、いざという時まで胸の内に秘めておけ。」
とはいえ職場の圧力や周囲の環境から、やむを得ず宅建士の取得を目指す方もいるでしょう。
そのような方に向けて、私の経験から次の3つをお伝えしたいと思います。
・取得にはどのくらい時間がかかるのか?
・どんなテキストで勉強すればいいのか?
・独学で勉強するべきか?有料講座やスクールに通うべきか?
宅建士がわからない方へ
〈目次〉
1.宅建士を目指した理由~資格取得のきっかけ~
私は技術系の会社に勤務しています。
そこでは常に、こんな声が聞こえてきます。
「資格を取りなさい。」
「取得すれば資格手当がもらえますよ。」
「取得すれば社内評価を上げますよ。」
そう、会社全体に流れるのは「資格こそ絶対正義」という空気感です。
でも、資格を取るとどうなるか。
仕事の幅が広がってしまうのです。
仕事が大好きな人にとっては、たまらない話かもしれません。
新しい案件に挑戦できて、業務量が増える。
その分、残業代も増える。
一部の人には「夢のような話」でしょう。
資格取得のメリットをまとめるとこうなります。
〇仕事がもらえる
〇褒めてもらえる(社内評価がアップする)
〇お金がもらえる(資格手当、残業手当)
ですが正直なところ、私はこれらのメリットに全く魅力を感じません。
「でも、資格を取れ!」という会社の圧は相変わらずです。
そんな私が考えたのは、「取得しても仕事が増えない資格」。
「漢検?英検?…」と考えあぐねていたとき、友人の祖父が「宅地建物取引士」を80歳で取得したという話を聞きました。
「80歳の人でも取れる資格か…!」
そんな風に思うと、思わずニヤニヤしてしまいました。
しかも、「仕事に活用できない資格」という私の条件にピッタリ!
その瞬間、心の中でガッツポーズ。
「よし、宅地建物取引士を取ろう!」と決めたのです。
2.勉強1年目の壁~無知からのスタート~
兎にも角にも、私は宅建士の試験を受けることにしました。
その時の私はあまりにも無知で、「きっと明日にでも合格できるさ」と甘く見ていたのです。
しかしご想像の通り、現実はそう甘くありませんでした。
なんと、合格までに2年もかかってしまったのです!
人生100年時代とはいえ、たまたま現代の日本で生きているからこそ、そんな悠長なことが言えるだけ。
もしも生まれる時代や場所が違っていたら、そんな余裕なんてなかったかもしれません。
だからこそ、2年という歳月は、やっぱりとても貴重な時間だと思うのです。
勉強に費やしたその2年が、私にとってどんな意味を持つのか――今でも、ふと考え込むことがあります。
2-1.自分ルール「学中法度」で無理のない学習スタイルを確立
そんなことも知らない能天気な私は、合格に向けて自分だけの「ルール」を作ることにしました。
その名も――学中法度。
これは、かつて新選組の「局中法度」をモチーフにした、いわば自己流の掟です。
〈学中法度〉
一、有料講座、スクール等に通うことを禁止する。
一、無理をすることを禁止する。
違反した者にはスクワットを命じるべし。
まず「有料講座、スクール等に通うこと」について。
これは一見、自分への戒めのように見えますが、実際はこうです。
「社会人にもなって、先生の言うことなんて聞きたくない!」
そんな、なんとも幼稚な反抗心が本音でした。
次に「無理をすること」。
これには深い意味なんてありません。ただ、私の甘えです。
「しんどいのは嫌だから無理はしない!」という、単純明快な理由です。
つまり、このルールをまとめると――ドケチで反抗的という、なんとも偏った掟が出来上がったのでした。
2-2.1年目の勉強方法と実績
〇期間:12.5ヶ月(2022年10月~2023年10月)
〇総勉強時間:750時間
平日:1.5時間/日(朝昼夜30分ずつ)
休日:3時間/日
〇使用した教材と勉強ポイント
①YouTube視聴:初心者の強い味方。動画を見て学ぶことで、独学でもスムーズにスタートできる。
②分野別問題集:基礎固めと弱点克服に最適。特定分野を集中して学ぶことができる。
③過去問集:試験本番を意識した総仕上げに使用。本番形式で問題に慣れるのが重要。
〇補足【】内は勉強の加減比率(①:②:③)
※1 2022年10月~11月末【5:5:0】
初心者として「宅建とは何か?」を理解する段階。
YouTubeの解説動画で基本を学び、分野別問題集を解く作業を繰り返す。
※2 2022年12月【1:9:0】
解説動画をほぼ必要としなくなる。
分野別問題集を徹底的に繰り返し解き、基礎を固める。
※3 2023年1月~6月末【1:6:3】
分野別問題集を中心に学習を続け、休日には過去問にも取り組む。
実践的な問題対応力を少しずつ鍛える。
※4 2023年7月~試験日【1:2:7】
過去問を徹底的に解くことで本番形式に慣れる。
間違えた箇所は解説動画や分野別問題集で復習し、理解を深める。
2-3.1年目の結果
思い返せば、試験日当日はまさに大雨。
試験会場へ向かう途中、雨水で浮いていた歩道の点字ブロックを踏んでしまい、靴がびしょびしょに濡れてしまいました。
「今日はなんてついてないんだ…」
「いや、これ、絶対試験に落ちるフラグだろう。」
そんな不吉な気持ちを抱えながら、ずぶ濡れの足で会場に向かいました。
【引用元:ミユキ化成】
そして、1年目の結果は――見事、不合格。
合格点は36点以上のところ、私の得点は34点。あとわずか2点でした。
「いや、きっとこの2点、あの大雨が持っていったに違いない!」
私はそう確信しました。
でも、よく考えれば、同じ内容をもう一度勉強すれば、きっと合格するはず。
「今年は運が悪かっただけだ。来年こそ、運でこの2点を拾おう!」
そんな軽いノリで、ほとんど反省もせず、「大自然のせい」という謎の結論に落ち着き、2年目の挑戦に突入したのでした。
3.2年目の勉強法~基礎から実践へ~
3-1.2年目の勉強方法と実績
〇期間:10.5ヶ月(2023年12月~2024年10月)
〇総勉強時間:735時間
平日:1.5時間/日(朝昼夜30分ずつ)
休日:4時間/日
〇使用した教材と勉強ポイント
①YouTube視聴:最新情報を効率よく収集するため、試験直前期に活用。法改正やよく出るポイントを重点的にチェック。
②分野別問題集:最初から中盤まで基礎固めとして活躍。特に苦手分野の克服に有効。
③過去問集:最初から中盤まで基礎固めとして活躍。特に苦手分野の克服に有効。
④間違いの復習:間違いを繰り返し復習することで、確実に得点力を向上。
〇補足【】内は勉強の加減比率(①:②:③:④)
※1 2023年12月~2024年1月末【1:9:0:0】
1ヶ月のブランク後、知識を思い出す段階。
YouTubeを参考にしながら分野別問題集で基礎を復習。
※2 2024年2月【0:10:0:0】
解説動画を卒業。分野別問題集を徹底的に繰り返し解き、理解の甘い部分を補強。
※3 2024年3月~2024年6月末【0:7:3:0】
分野別問題集で理解を深めつつ、休日には過去問集を活用し、本番形式の問題への対応力を高める。
※4 2024年7月~2024年8月中旬【0:0:6:4】
分野別問題集を終了し、過去問を中心に学習。
間違えた箇所を重点的に復習することで理解を深め、弱点を克服。
※5 2024年8月中旬~試験日【1:0:8:1】
最新の法改正や試験情報をYouTubeで確認しながら、過去問を解き続ける。
間違いを繰り返し復習することで、知識の定着を図る。
3-2.2年目の結果
試験日当日は曇り空。
今回は天気のせいにはできない状況でした。
そして結果は――合格!
合格点は37点以上のところ、私の得点もぴったり37点。本当にギリギリの合格でした。
正直、試験を終えた時は「もしかしてまたダメかも」と不安だったのですが、結果を見た瞬間、心の中でガッツポーズ!
それにしても、この結果が示しているのは明らかです。
昨年の不合格は、やっぱり「“あの大雨”が原因だった」のだと――そう確信しました。
4.標準的な勉強時間?またまた、ご冗談を!
ネットで調べたところ、宅建士合格に必要な勉強時間は200~500時間だそうです。
「ん?標準的な勉強時間?またまた、ご冗談を!」
私の場合、その約3~7倍となる1485時間も費やしてしまいました。
こうして数字にしてみると、「よくこんなにやったな」と自分を褒めたくなる気持ちと、「やりすぎだろ」と笑ってしまう気持ちが半々です。
だって、これだけ時間をかけたら、普通なら3~7人分の合格者が生まれていたかもしれません。
それを一人で使い切るとは、なんとも贅沢な勉強法です。
でも振り返れば、これが私らしいやり方だったのかもしれません。コツコツ積み重ねる不器用さも、ある意味では私の長所です。
とはいえ、この事実を文章にまとめる今、手が震えるどころか肩まで震えてきました。
「1485時間」という数字の重みを改めて感じてしまうのです。
5.まとめ~資格の使い道~
さて、全体を振り返ると、思わずこう言いたくなります。
「2年もの時間、いったい私は何をしていたんだ?」と。
ちなみに書き忘れていましたが、私は分野別問題集を40周、過去問集を20周以上こなしました。
こうして数字にすると、自分でも「やりすぎでは?」と思ってしまいますが、あの膨大な時間がなければ合格には届かなかったでしょう。
それに、勉強に集中していたおかげで、「資格を取りなさい」という会社の圧から身を守ることができました。
テキストを机の上に堂々と置いて、「資格取得に挑戦してまーす!」とアピールするだけで、上司たちの追及をかわすのは意外と簡単なものでした。
今回、運よく宅建士に合格しましたが、会社にはこう伝えるつもりです。
「不合格でした。また来年も挑戦します!」
そうです。この“勉強中”というカードは、会社生活を快適にするための最強の盾。
今後もこの甘い蜜を吸い続けて、プレッシャーからの自由を味わおうと思います。
最後に記事冒頭で書いた「受験を検討している方に伝えたいこと3つ」をまとめました。
以下に改めてQ&A形式でまとめておきます。
Q.取得にはどのくらい時間がかかるのか?
A.一般的な強時間は200~500時間とされていますが、私は1485時間かかりました。
Q.どんなテキストで勉強すればいいのか?
A.私が使用したテキストをこの記事の下部に添付します。参考にしてください。
Q.独学で勉強するべきか?有料講座やスクールに通うべきか?
A.低学歴の私でも、独学で合格しました。しかし、時間がかかることを覚悟してください。お急ぎでしたら、有料講座やスクールの利用を検討するなど、お金で解決してください。
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